六十四卦一覧
1
乾為天
上卦
下卦

易経第 1 卦

乾為天 · 健やかな創始と時機

乾は、六つの陽爻が重なる卦です。強く始める力を示しますが、易経が求める強さは、時機を聞き分け、驕らず、日々みずからを整える力です。

本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦

第1卦 乾の物語図。天に上る龍。 天に上る龍

読卦への応用

第1卦 乾が示すこと

乾は、六つの陽爻が重なる卦です。強く始める力を示しますが、易経が求める強さは、時機を聞き分け、驕らず、日々みずからを整える力です。 乾は、始める、導く、引き受ける、続けるという力を表します。ただし六つの爻は、潜む時、姿を現す時、慎む時、飛躍する時、高みにある時、退くべき時を分けています。読卦では、今どの段階にいるのかをまず見ます。

  • 第1卦 乾は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「健やかな創始と時機」というテーマを読む卦です。
  • 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
  • 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。

この卦が現れる時

  1. 場の形を静かに見直す時です。 乾は、六つの陽爻が重なる卦です。強く始める力を示しますが、易経が求める強さは、時機を聞き分け、驕らず、日々みずからを整える力です。
  2. すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 乾は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
  3. 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。

この卦をどう活かすか

人との関わり

乾は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。

仕事と決定

まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。

内面の稽古

乾は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。

文脈とつまずきやすい所

  • 第1卦 乾を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
  • 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
  • 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。

第 1 卦を文脈の中で読む

第 1 卦 よくある確認

第1卦 乾は何を意味しますか。

「健やかな創始と時機」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。乾は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。

乾に変爻がある時はどう読みますか。

本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。

乾の之卦は未来を表しますか。

之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。

本文

卦辞と象伝

卦辞

卦辞:乾。元亨、利貞。

読み:大きく始まり、通り、正しさを保つとよい、という卦辞です。勢いだけではなく、始まりの根、進む時、守るべき筋がそろうとき、乾の力は形になります。

象伝

象伝:天行健。君子以て自強して息まず。

読み:天の運行は健やかで止みません。君子はこれを見て、無理に押し通すのではなく、日々の修養を絶やさず、自分の力を澄ませていきます。

読卦の要点

卦の働き

乾は、始める、導く、引き受ける、続けるという力を表します。ただし六つの爻は、潜む時、姿を現す時、慎む時、飛躍する時、高みにある時、退くべき時を分けています。読卦では、今どの段階にいるのかをまず見ます。

上下の八卦

下卦も上卦も乾です。内も外も天のはたらきで満ちています。力が純粋であるぶん、時機を誤ると強さが硬さになります。

上卦:乾(天) 健やかな創始
下卦:乾(天) 健やかな創始

物語図

物語は、まだ見えない龍が、田に現れ、深い淵を越え、天に至り、最後に高ぶりを戒められる流れとして読めます。力は成長しますが、いつも一つ上の節度を必要とします。

第1図 水面下に潜む龍
第2図 田に姿を現す龍
第3図 日暮れまで励む人
第4図 淵の上で跳ぶ龍
第5図 天に上る龍
第6図 高みに留まりすぎた龍

この物語図が合う理由

乾の物語図は、龍の姿を通して、力がただ増えるだけではないことを示します。隠れる、学ぶ、慎む、飛ぶ、治める、退くという段階が、六爻の働きを視覚的に支えます。

六爻

爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。

初九 陽爻

爻辞:潜龍、用うるなかれ。

読み:力はまだ深く潜んでいます。急いで働かせず、静かに養い、場が熟すのを待ちます。

九二 陽爻

爻辞:見龍、田に在り。大人を見るに利ろし。

読み:力が人の見える場に出始めます。独りで進めず、器の大きい人、正しい基準に触れることが助けになります。

九三 陽爻

爻辞:君子終日乾乾し、夕べに惕若たり。厲けれども咎なし。

読み:一日中励み、夜にもなお慎む段階です。重荷は大きいものの、警戒を失わなければ咎はありません。

九四 陽爻

爻辞:或いは躍りて淵に在り。咎なし。

読み:進むか留まるかの境目にいます。飛び上がる力はありますが、深みを忘れず、位置を確かめれば咎はありません。

九五 陽爻

爻辞:飛龍、天に在り。大人を見るに利ろし。

読み:力が中正に働き、広い場で役目を担える時です。それでも高い徳と助言を求める姿勢が必要です。

上九 陽爻

爻辞:亢龍、悔あり。

読み:高みに行き過ぎた龍です。強さが退く術を忘れると悔いを招きます。収めることも乾の働きです。