六十四卦一覧
38
火沢睽
上卦
下卦

易経第 38 卦

火沢睽 · 異なりを抱え小事を通す

睽は、火が上に、沢が下にある卦です。向かう性質が違い、心は離れます。それでも小さな事には吉があり、違いをなくすのでなく、違いの中で通る道を探します。

本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦

第38卦 睽の物語図。曳かれる車と止められた牛。 曳かれる車と止められた牛

読卦への応用

第38卦 睽が示すこと

睽は、火が上に、沢が下にある卦です。向かう性質が違い、心は離れます。それでも小さな事には吉があり、違いをなくすのでなく、違いの中で通る道を探します。 睽は、意見の違い、距離、誤解、別々の向きを読む卦です。馬を追わず戻る初め、巷で主に遇う時、傷ついた姿を見てなお終わりがある時、雨に遇って吉となる終わりがあります。読卦では、対立を急いで解くより、小さな信を見ます。

  • 第38卦 睽は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「異なりを抱え小事を通す」というテーマを読む卦です。
  • 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
  • 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。

この卦が現れる時

  1. 場の形を静かに見直す時です。 睽は、火が上に、沢が下にある卦です。向かう性質が違い、心は離れます。それでも小さな事には吉があり、違いをなくすのでなく、違いの中で通る道を探します。
  2. すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 睽は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
  3. 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。

この卦をどう活かすか

人との関わり

睽は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。

仕事と決定

まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。

内面の稽古

睽は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。

文脈とつまずきやすい所

  • 第38卦 睽を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
  • 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
  • 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。

第 38 卦を文脈の中で読む

第 38 卦 よくある確認

第38卦 睽は何を意味しますか。

「異なりを抱え小事を通す」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。睽は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。

睽に変爻がある時はどう読みますか。

本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。

睽の之卦は未来を表しますか。

之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。

本文

卦辞と象伝

卦辞

卦辞:睽。小事は吉。

読み:睽は、小さな事には吉です。大きく一つにまとめようとせず、小さく確かな接点を扱う時です。

象伝

象伝:上は火、下は沢、睽。君子以て同じくして異なり。

読み:上に火、下に沢があります。君子はこれを見て、同じ場にあっても異なることを知ります。違いを消さず、節度を持って並びます。

読卦の要点

卦の働き

睽は、意見の違い、距離、誤解、別々の向きを読む卦です。馬を追わず戻る初め、巷で主に遇う時、傷ついた姿を見てなお終わりがある時、雨に遇って吉となる終わりがあります。読卦では、対立を急いで解くより、小さな信を見ます。

上下の八卦

下卦は兌、上卦は離です。内には沢の悦び、外には火の明るさがあります。沢は下に潤い、火は上に昇るため、方向が分かれます。

上卦:離(火) 明らかに照らすこと
下卦:兌(沢) 開き、親しむこと

物語図

物語では、離れた二つの家が湖畔と丘の上にあります。互いに疑い、弓を張る場面もありますが、雨が降る時、敵ではなく婚姻の使いであったことが見えてきます。

第1図 火と沢が別々に向かう景色
第2図 追わず戻る馬
第3図 巷で主と出会う人
第4図 曳かれる車と止められた牛
第5図 弓を張る孤独な旅人
第6図 雨の中で近づく婚姻の列

この物語図が合う理由

睽の物語図は、離れた火と沢、誤解された車、弓、雨を通して、違いの中で信が回復する過程を描きます。小事の吉が、最後の雨に結びつきます。

六爻

爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。

初九 陽爻

爻辞:悔亡ぶ。馬を喪う。逐う勿れ、自ら復る。悪人を見れば咎なし。

読み:悔いは亡びます。馬を失っても追わずにいれば、自ら戻ります。悪人を見ても咎はありません。

九二 陽爻

爻辞:主に巷に遇う。咎なし。

読み:巷で主に遇います。正式な場でなくても、出会いがあり、咎はありません。

六三 陰爻

爻辞:輿を見れば曳かれ、その牛は掣せられ、その人は天(てん:額の刑)且つ劓(はなき:鼻そぎ)せらる。初めなく終わりあり。

読み:車は曳かれ、牛は止められ、人は額に刑を受け鼻を切られたような姿です。初めはなくとも終わりはあります。

九四 陽爻

爻辞:睽きて孤なり。元夫に遇い、交わるに孚あり。厲けれども咎なし。

読み:背き合って孤独です。もとの相手に遇い、交わりに誠があります。危うくても咎はありません。

六五 陰爻

爻辞:悔亡ぶ。厥の宗、膚を噬む。往けば何の咎かあらん。

読み:悔いは亡びます。その宗が膚を噬むほど近く関わります。往けば、何の咎があるでしょうか。

上九 陽爻

爻辞:睽きて孤なり。豕の塗を負うを見る。鬼を載すること一車。先には弧を張り、後には弧を説く。寇に匪ず、婚媾なり。往きて雨に遇えば吉。

読み:背き合って孤独です。泥を負う豕や鬼を載せた車に見え、初めは弓を張りますが、後には弓を解きます。敵ではなく婚姻です。往きて雨に遇えば吉です。