易経第 42 卦
益
風雷益 · 増して人を助け時に応じる
益は、風と雷がともに動く卦です。上から下へ益し、ものごとが増え広がります。増やすことは蓄え込むためではなく、時に応じて人と場を助けるためにあります。
本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦
揺れ定まらない心の影
読卦への応用
第42卦 益が示すこと
益は、風と雷がともに動く卦です。上から下へ益し、ものごとが増え広がります。増やすことは蓄え込むためではなく、時に応じて人と場を助けるためにあります。 益は、援助、成長、学び、改善が増す卦です。大作をなす初め、十朋の亀による益、凶事を用いた益、国を遷す働き、恒ならぬ心の凶が現れます。読卦では、誰を益し、何を改め、どの時機に動くかを見ます。
- 第42卦 益は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「増して人を助け時に応じる」というテーマを読む卦です。
- 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
- 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。
この卦が現れる時
- 場の形を静かに見直す時です。 益は、風と雷がともに動く卦です。上から下へ益し、ものごとが増え広がります。増やすことは蓄え込むためではなく、時に応じて人と場を助けるためにあります。
- すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 益は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
- 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。
この卦をどう活かすか
人との関わり
益は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。
仕事と決定
まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。
内面の稽古
益は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。
文脈とつまずきやすい所
- 第42卦 益を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
- 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
- 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。
第 42 卦を文脈の中で読む
第 42 卦 よくある確認
第42卦 益は何を意味しますか。
「増して人を助け時に応じる」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。益は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。
益に変爻がある時はどう読みますか。
本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。
益の之卦は未来を表しますか。
之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。
本文
卦辞と象伝
卦辞
卦辞:益。往くところあるに利ろし。大川を渉るに利ろし。
読み:益は、進むところに利があり、大川を渉るにも利があります。増す力が、行動と渡りを支えます。
象伝
象伝:風雷、益。君子以て善を見れば則ち遷り、過ちあれば則ち改む。
読み:風と雷があります。君子はこれを見て、善を見ればそこへ遷り、過ちがあれば改めます。益は、増やすだけでなく、すばやく善へ移ることです。
読卦の要点
卦の働き
益は、援助、成長、学び、改善が増す卦です。大作をなす初め、十朋の亀による益、凶事を用いた益、国を遷す働き、恒ならぬ心の凶が現れます。読卦では、誰を益し、何を改め、どの時機に動くかを見ます。
上下の八卦
下卦は震、上卦は巽です。内には雷の動き、外には風の入りこむ働きがあります。動きが起こり、それが行き渡ります。
物語図
物語では、春の嵐の後、村人が堤を直し、畑へ水を分けます。増えた水は一か所に留めず、必要なところへ流すことで、村全体を益します。
この物語図が合う理由
益の物語図は、風雷と水路を通して、増す力が循環する様子を描きます。大作、十朋の亀、国を遷す決断、恒でない心の危うさが、益の明暗を支えます。
六爻
爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。
爻辞:用て大作を為すに利ろし。元吉、咎なし。
読み:大きな仕事をするのに利があります。大いに吉で、咎はありません。増す力を初めから正しく用います。
爻辞:或いはこれを益す、十朋の亀。違う克わず。永貞吉。王用て帝に享す。吉。
読み:誰かが十朋の亀で益します。拒めません。永く正しければ吉です。王が帝に享するにも吉です。
爻辞:これを益すに凶事を用う。咎なし。孚あり中行。公に告ぐるに圭を用う。
読み:凶事を用いて益します。咎はありません。誠があり中を行き、公に告げるには圭を用います。困難も正しく扱えば益になります。
爻辞:中行。公に告げて従わる。用て依るを為し国を遷すに利ろし。
読み:中を行き、公に告げて従われます。拠り所をつくり、国を遷すような大きな移動に利があります。
爻辞:孚あり恵心。問う勿れ、元吉。孚あり我が徳を恵む。
読み:誠があり、恵む心があります。問わなくても大いに吉です。その誠は、こちらの徳をも恵みます。
爻辞:これを益すなし。或いはこれを撃つ。心を立つるに恒なし。凶。
読み:益するものがありません。あるいは撃たれます。心の立て方に恒がなく、凶です。増す力が尽き、方向を失っています。