六十四卦一覧
53
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易経第 53 卦

風山漸 · 段階を踏んでゆっくり進む

漸は、山の上に木がある卦です。木は一日にして高くならず、根を保ちながら少しずつ伸びます。急がず、段階を踏み、礼を失わず進む時です。

本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦

第53卦 漸の物語図。木の枝に休む雁。 木の枝に休む雁

読卦への応用

第53卦 漸が示すこと

漸は、山の上に木がある卦です。木は一日にして高くならず、根を保ちながら少しずつ伸びます。急がず、段階を踏み、礼を失わず進む時です。 漸は、成長、婚姻、学び、移動の段階を読む卦です。雁が干、磐、陸、木、陵、逵へ進む場面があります。読卦では、今いる段階を認め、次の足場を急がず確かめます。

  • 第53卦 漸は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「段階を踏んでゆっくり進む」というテーマを読む卦です。
  • 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
  • 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。

この卦が現れる時

  1. 場の形を静かに見直す時です。 漸は、山の上に木がある卦です。木は一日にして高くならず、根を保ちながら少しずつ伸びます。急がず、段階を踏み、礼を失わず進む時です。
  2. すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 漸は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
  3. 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。

この卦をどう活かすか

人との関わり

漸は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。

仕事と決定

まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。

内面の稽古

漸は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。

文脈とつまずきやすい所

  • 第53卦 漸を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
  • 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
  • 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。

第 53 卦を文脈の中で読む

第 53 卦 よくある確認

第53卦 漸は何を意味しますか。

「段階を踏んでゆっくり進む」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。漸は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。

漸に変爻がある時はどう読みますか。

本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。

漸の之卦は未来を表しますか。

之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。

本文

卦辞と象伝

卦辞

卦辞:漸。女帰ぐに吉。貞に利ろし。

読み:漸は、女が嫁ぐことに吉です。正しさに利があります。大切な移り変わりは、順序と時を踏んで整います。

象伝

象伝:山上に木あり、漸。君子以て賢徳に居り俗を善くす。

読み:山の上に木があります。君子はこれを見て、賢徳に居り、世のあり方をよくします。ゆるやかな徳が周囲を整えます。

読卦の要点

卦の働き

漸は、成長、婚姻、学び、移動の段階を読む卦です。雁が干、磐、陸、木、陵、逵へ進む場面があります。読卦では、今いる段階を認め、次の足場を急がず確かめます。

上下の八卦

下卦は艮、上卦は巽です。内には山の止まり、外には風または木の入りこむ働きがあります。止まりを土台に、木が少しずつ伸びます。

上卦:巽(風) 入りこむはたらき
下卦:艮(山) 止まり、養うこと

物語図

物語では、雁の群れが水辺から石、陸、木、丘、広い空へと進みます。幼い者への危うさ、飲食の安らぎ、離れて戻らない人、羽の美しさが、段階ごとの姿を示します。

第1図 山の上に育つ若木
第2図 水辺に降りる雁
第3図 石の上で飲食する雁
第4図 陸を進む離れた影
第5図 木の枝に休む雁
第6図 羽が儀に用いられる空

この物語図が合う理由

漸の物語図は、雁の移動を通して、成長が一足飛びでないことを描きます。足場を選び、礼を保ち、時間をかけて高みへ近づきます。

六爻

爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。

初六 陰爻

爻辞:鴻、干に漸む。小子厲うし。言あり。咎なし。

読み:雁が水辺へ進みます。幼い者には危うさがあり、言葉もありますが、咎はありません。

六二 陰爻

爻辞:鴻、磐に漸む。飲食衎衎たり。吉。

読み:雁が磐へ進みます。飲食は和やかで、吉です。足場が安定しています。

九三 陽爻

爻辞:鴻、陸に漸む。夫征きて復らず。婦孕みて育せず。凶。寇を禦ぐに利ろし。

読み:雁が陸へ進みます。夫は行って戻らず、婦は孕んでも育てません。凶です。寇を防ぐには利があります。

六四 陰爻

爻辞:鴻、木に漸む。或いはその桷を得。咎なし。

読み:雁が木へ進みます。あるいは桷(かく:平らな枝)を得ます。咎はありません。高い場所にも休む足場があります。

九五 陽爻

爻辞:鴻、陵に漸む。婦三歳孕まず。終にこれに勝つなし。吉。

読み:雁が陵へ進みます。婦は長く孕みませんが、最後には妨げるものがありません。吉です。

上九 陽爻

爻辞:鴻、逵に漸む。その羽、用て儀と為すべし。吉。

読み:雁が広い道へ進みます。その羽は儀に用いることができます。吉です。長い進みが美しい形になります。