易経第 57 卦
巽
巽為風 · 柔らかく入り命を行き渡らせる
巽は、風が重なる卦です。強く押し通すのではなく、低く入り、繰り返し命を申べ、静かに浸透していきます。柔らかさは弱さではなく、深く届くための働きです。
本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦
田で得られる三つの獲物
読卦への応用
第57卦 巽が示すこと
巽は、風が重なる卦です。強く押し通すのではなく、低く入り、繰り返し命を申べ、静かに浸透していきます。柔らかさは弱さではなく、深く届くための働きです。 巽は、浸透、命令、相談、手順の反復を読む卦です。進退する初め、床下に入る深い調べ、頻りに巽う吝、田で三品を得る時、先庚後庚の整え、資斧を失う終わりがあります。読卦では、どこへ柔らかく入り、何を何度伝えるかを見ます。
- 第57卦 巽は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「柔らかく入り命を行き渡らせる」というテーマを読む卦です。
- 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
- 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。
この卦が現れる時
- 場の形を静かに見直す時です。 巽は、風が重なる卦です。強く押し通すのではなく、低く入り、繰り返し命を申べ、静かに浸透していきます。柔らかさは弱さではなく、深く届くための働きです。
- すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 巽は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
- 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。
この卦をどう活かすか
人との関わり
巽は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。
仕事と決定
まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。
内面の稽古
巽は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。
文脈とつまずきやすい所
- 第57卦 巽を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
- 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
- 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。
第 57 卦を文脈の中で読む
第 57 卦 よくある確認
第57卦 巽は何を意味しますか。
「柔らかく入り命を行き渡らせる」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。巽は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。
巽に変爻がある時はどう読みますか。
本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。
巽の之卦は未来を表しますか。
之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。
本文
卦辞と象伝
卦辞
卦辞:巽。小しく亨る。往くところあるに利ろし。大人を見るに利ろし。
読み:巽は、少し通ります。進むところに利があり、大人を見ることに利があります。柔らかく入る力は、小さく始めて深く届きます。
象伝
象伝:随風、巽。君子以て命を申べ事を行う。
読み:風が風に従います。君子はこれを見て、命を重ねて申べ、事を行います。一度で届かないことも、繰り返し整えて伝えます。
読卦の要点
卦の働き
巽は、浸透、命令、相談、手順の反復を読む卦です。進退する初め、床下に入る深い調べ、頻りに巽う吝、田で三品を得る時、先庚後庚の整え、資斧を失う終わりがあります。読卦では、どこへ柔らかく入り、何を何度伝えるかを見ます。
上下の八卦
下卦も上卦も巽です。風が内にも外にもあります。風は形を持たず、隙間へ入り、時間をかけてものを動かします。
物語図
物語では、使者が風の道をたどり、命を何度も読み上げます。床下まで調べ、祭官と巫者が集い、庚の日をはさんで事を整えます。最後に資斧を失えば、入りこむ力は根を失います。
この物語図が合う理由
巽の物語図は、重なる風、床下、史巫、田の三品、庚の日、失われた資斧を通して、柔らかく入ることの明暗を描きます。
六爻
爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。
爻辞:進退す。武人の貞に利ろし。
読み:進んだり退いたりします。武人の正しさに利があります。柔らかさの初めには、内に決まりが必要です。
爻辞:巽、床下に在り。史巫を用うること紛若たり。吉、咎なし。
読み:巽が床下にあります。史と巫を多く用います。吉で咎はありません。深いところまで調べ、言葉を整えます。
爻辞:頻りに巽う。吝。
読み:頻りに巽います。吝です。柔らかく入ろうとして、かえって定まりを欠いています。
爻辞:悔亡ぶ。田して三品を獲。
読み:悔いは亡びます。田で三品を獲ます。柔らかく入った働きが、具体的な実りを得ます。
爻辞:貞吉、悔亡ぶ。利ろしからざるなし。初めなくして終わりあり。庚に先だつこと三日、庚に後るること三日。吉。
読み:正しければ吉で、悔いは亡びます。利のないところはありません。初めは欠けても終わりがあります。庚の日の前後を整えれば吉です。
爻辞:巽、床下に在り。その資斧を喪う。貞なれども凶。
読み:巽が床下にあります。資斧を失います。正しくても凶です。深く入りすぎて、働きの要を失っています。