六十四卦一覧
61
中孚
風沢中孚
上卦
下卦

易経第 61 卦

中孚

風沢中孚 · 内なる誠で隔たりを渡る

中孚は、沢の上に風がある卦です。内が空いて、そこに誠が宿ります。豚魚のような素朴なものにも吉が及び、大川を渉る力になります。

本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦

第61卦 中孚の物語図。望に近い月と去る馬。 望に近い月と去る馬

読卦への応用

第61卦 中孚が示すこと

中孚は、沢の上に風がある卦です。内が空いて、そこに誠が宿ります。豚魚のような素朴なものにも吉が及び、大川を渉る力になります。 中孚は、信頼、内なる誠、約束、深い共鳴を読む卦です。虞して吉、陰で鳴く鶴、敵を得て泣き歌う時、月が望に近く馬匹を失う時、攣如たる誠、天に登る翰音の凶があります。読卦では、外の形でなく内の誠が通っているかを見ます。

  • 第61卦 中孚は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「内なる誠で隔たりを渡る」というテーマを読む卦です。
  • 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
  • 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。

この卦が現れる時

  1. 場の形を静かに見直す時です。 中孚は、沢の上に風がある卦です。内が空いて、そこに誠が宿ります。豚魚のような素朴なものにも吉が及び、大川を渉る力になります。
  2. すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 中孚は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
  3. 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。

この卦をどう活かすか

人との関わり

中孚は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。

仕事と決定

まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。

内面の稽古

中孚は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。

文脈とつまずきやすい所

  • 第61卦 中孚を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
  • 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
  • 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。

第 61 卦を文脈の中で読む

第 61 卦 よくある確認

第61卦 中孚は何を意味しますか。

「内なる誠で隔たりを渡る」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。中孚は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。

中孚に変爻がある時はどう読みますか。

本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。

中孚の之卦は未来を表しますか。

之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。

本文

卦辞と象伝

卦辞

卦辞:中孚。豚魚吉。大川を渉るに利ろし。貞に利ろし。

読み:中孚は、豚魚にも吉です。大川を渉るに利があり、正しさに利があります。深い誠は、言葉の届きにくいものにも通います。

象伝

象伝:沢上に風あり、中孚。君子以て獄を議し死を緩くす。

読み:沢の上に風があります。君子はこれを見て、訴えを議し、死を緩めます。誠は厳しさだけでなく、命を慎重に扱う心として現れます。

読卦の要点

卦の働き

中孚は、信頼、内なる誠、約束、深い共鳴を読む卦です。虞して吉、陰で鳴く鶴、敵を得て泣き歌う時、月が望に近く馬匹を失う時、攣如たる誠、天に登る翰音の凶があります。読卦では、外の形でなく内の誠が通っているかを見ます。

上下の八卦

下卦は兌、上卦は巽です。内には沢の開き、外には風の入りこむ働きがあります。開いた内側へ風が入り、誠が静かに響きます。

上卦:巽(風) 入りこむはたらき
下卦:兌(沢) 開き、親しむこと

物語図

物語では、沢の陰で鶴が鳴き、その子が応えます。旅人はよい爵を分かち、時に泣き、時に歌い、月が満ちる前に馬を失っても、内の誠を保ちます。

第1図 沢の上を渡る静かな風
第2図 陰で鳴く鶴と応える子
第3図 よい爵を分かつ手
第4図 泣き歌う二人の影
第5図 望に近い月と去る馬
第6図 天へ高く登る声

この物語図が合う理由

中孚の物語図は、沢の風、鳴く鶴、杯、月、失われた馬、天に登る声を通して、誠が届く時と空へ逃げる時を描きます。

六爻

爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。

初九 陽爻

爻辞:虞すれば吉。他あれば燕からず。

読み:よく備えれば吉です。他へ心が移れば安らぎません。誠の初めは、心の置き所を定めます。

九二 陽爻

爻辞:鳴鶴、陰に在り。その子これに和す。我に好爵あり。吾、爾とこれを靡たん。

読み:鳴く鶴が陰にいます。その子がこれに応えます。よい爵があり、あなたと分かち合います。内の声が響き合います。

六三 陰爻

爻辞:敵を得。或いは鼓し或いは罷め、或いは泣き或いは歌う。

読み:敵を得ます。ある時は鼓し、ある時はやめ、ある時は泣き、ある時は歌います。誠が揺れる相手に出会っています。

六四 陰爻

爻辞:月ほとんど望なり。馬匹亡ぶ。咎なし。

読み:月は望に近く、馬のつれあいを失います。咎はありません。満ちる前に離れるものがあります。

九五 陽爻

爻辞:孚あり攣如たり。咎なし。

読み:誠があり、しっかり結ばれています。咎はありません。内の信が離れません。

上九 陽爻

爻辞:翰音、天に登る。貞なれども凶。

読み:高い声が天に登ります。正しくても凶です。声だけが高く、内の誠から離れています。