易経第 43 卦
夬
沢天夬 · 決して告げ争いを避ける
夬は、沢が天の上にある卦です。満ちたものが決して流れ出ます。決断は必要ですが、強さをそのまま争いに向けるのではなく、王庭に明らかに告げることから始まります。
本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦
夜に響く警戒の声
読卦への応用
第43卦 夬が示すこと
夬は、沢が天の上にある卦です。満ちたものが決して流れ出ます。決断は必要ですが、強さをそのまま争いに向けるのではなく、王庭に明らかに告げることから始まります。 夬は、決断、宣言、除くべきものを除く時の卦です。足先の強さ、夜の戎への警戒、独り雨に遇う君子、羊を牽けば悔いが亡ぶ場面があります。読卦では、決めることと争わないことの両方を見ます。
- 第43卦 夬は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「決して告げ争いを避ける」というテーマを読む卦です。
- 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
- 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。
この卦が現れる時
- 場の形を静かに見直す時です。 夬は、沢が天の上にある卦です。満ちたものが決して流れ出ます。決断は必要ですが、強さをそのまま争いに向けるのではなく、王庭に明らかに告げることから始まります。
- すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 夬は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
- 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。
この卦をどう活かすか
人との関わり
夬は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。
仕事と決定
まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。
内面の稽古
夬は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。
文脈とつまずきやすい所
- 第43卦 夬を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
- 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
- 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。
第 43 卦を文脈の中で読む
第 43 卦 よくある確認
第43卦 夬は何を意味しますか。
「決して告げ争いを避ける」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。夬は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。
夬に変爻がある時はどう読みますか。
本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。
夬の之卦は未来を表しますか。
之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。
本文
卦辞と象伝
卦辞
卦辞:夬。王庭に揚ぐ。孚ありて号ぶ。厲うきあり。告ぐること邑よりす。戎に即くに利ろしからず。往くところあるに利ろし。
読み:夬は、王庭に掲げます。誠をもって号び、危うさがあります。自分の邑から告げ、武力に就くことには利がありません。進むところには利があります。
象伝
象伝:沢、天に上る、夬。君子以て禄を施して下に及ぼし、徳に居れば則ち忌む。
読み:沢が天に上ります。君子はこれを見て、禄を施して下に及ぼします。徳に居て安んずることは、自ら戒むべきこととします。
読卦の要点
卦の働き
夬は、決断、宣言、除くべきものを除く時の卦です。足先の強さ、夜の戎への警戒、独り雨に遇う君子、羊を牽けば悔いが亡ぶ場面があります。読卦では、決めることと争わないことの両方を見ます。
上下の八卦
下卦は乾、上卦は兌です。内には天の健やかさ、外には沢の開きがあります。強い内実が外へ開いて、決したものを告げます。
物語図
物語では、城門の前で使者が告げ札を掲げます。夜には武器の気配もありますが、使者は争いへ走らず、雨に濡れても王庭で明らかに言葉を立てます。
この物語図が合う理由
夬の物語図は、掲げる札、夜の警戒、雨に濡れる独行、羊を牽く手を通して、決断が暴発しないための節度を描きます。
六爻
爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。
爻辞:前趾に壮んなり。往きて勝たざれば咎と為す。
読み:前の足先に力が満ちています。往って勝てなければ咎となります。衝動の決断は危ういものです。
爻辞:惕れて号ぶ。暮夜に戎あるも恤うる勿れ。
読み:恐れて号びます。夜に武器の気配があっても、憂えることはありません。警戒が備えになります。
爻辞:頄(きゅう:頬骨)に壮んなり。凶あり。君子夬夬たり。独り行き雨に遇う。若し濡るることあれば愠らる。咎なし。
読み:頬に力が出すぎ、凶があります。君子は決然とし、独り行って雨に遇います。濡れて不快に思われても、咎はありません。
爻辞:臀に膚なし。その行くこと次且たり。羊を牽けば悔亡ぶ。言を聞くも信ぜず。
読み:尻に皮がなく、行くことがためらわれます。羊を牽けば悔いは亡びますが、言葉を聞いても信じません。
爻辞:莧陸夬夬たり。中行なれば咎なし。
読み:莧陸を決然と切ります。中を行けば咎はありません。除くべきものを、過不足なく除きます。
爻辞:号ぶなし。終に凶あり。
読み:号ぶことがありません。最後には凶があります。告げるべき時に声を失っています。