易経第 6 卦
訟
天水訟 · 訴えを深めすぎない
訟は、天と水が反対へ進む卦です。言い分に根があっても、対立を最後まで押し切ると、正しさそのものが損なわれます。
本卦 · 卦辞 · 象伝 · 六爻 · 読卦
正命へ戻る道
読卦への応用
第6卦 訟が示すこと
訟は、天と水が反対へ進む卦です。言い分に根があっても、対立を最後まで押し切ると、正しさそのものが損なわれます。 訟は、言い分がある時ほど危うい卦です。正しさを示すために始めたことが、勝ち負けへの執着に変わることがあります。読卦では、何を守るべきか、どこで止めるべきか、誰に裁きを預けるべきかを見ます。
- 第6卦 訟は、日々の選択とふるまいに戻しながら、「訴えを深めすぎない」というテーマを読む卦です。
- 卦辞、象伝、上下の八卦を合わせて見て、場全体の形を先に受けとめます。
- 変爻がある時は、本卦から之卦へ急がず、動いている爻の声を中心に読みます。
この卦が現れる時
- 場の形を静かに見直す時です。 訟は、天と水が反対へ進む卦です。言い分に根があっても、対立を最後まで押し切ると、正しさそのものが損なわれます。
- すぐ結論にせず、応じ方を整えます。 訟は、何が起きるかを決めつけるためではなく、いまの態度、間合い、次の一手を澄ませるために現れます。
- 変爻がある時は重みがそこに集まります。 6 または 9 の爻は、すでに動き始めている場所です。本卦を読んだうえで、その爻を確かめ、最後に之卦を変化の向きとして添えます。
この卦をどう活かすか
人との関わり
訟は、相手を動かす読みではなく、関係の中で自分がどの姿勢を保つかを照らします。近づく、待つ、支える、境を置くなど、卦の調子に合う距離を選びます。
仕事と決定
まず本卦の形から、急ぐべき所と整えるべき所を分けます。変爻があるなら、そこを実務上の焦点とし、之卦は確定した結果ではなく次に開く気配として扱います。
内面の稽古
訟は、外の出来事だけでなく、心の癖、待ち方、言葉の選び方を映します。読卦を一つの小さな実践へ戻すことで、卦は日常の稽古になります。
文脈とつまずきやすい所
- 第6卦 訟を、必ずこうなるという告げごととして扱わないこと。卦は場の形と応じ方を示します。
- 変爻を飛ばして之卦だけで結論にしないこと。動いている爻が、読卦のもっとも具体的な手がかりです。
- 都合のよい一文だけを抜き出さず、卦辞、象伝、六爻、上下の八卦を同じ場の中で読み合わせること。
第 6 卦を文脈の中で読む
第 6 卦 よくある確認
第6卦 訟は何を意味しますか。
「訴えを深めすぎない」を手がかりに、いまの場の形とふるまいの調子を読みます。訟は結論を急がせる卦ではなく、まず本卦の働きを落ち着いて見るための入口です。
訟に変爻がある時はどう読みますか。
本卦を先に読み、次に変爻の本文を確かめます。複数の変爻がある場合も、急いで一つにまとめず、どの位置で何が動いているかを見てから之卦を添えます。
訟の之卦は未来を表しますか。
之卦は決まった未来ではありません。変爻が動いた時に開く方向や、場の移り方を示す補助の卦として読みます。
本文
卦辞と象伝
卦辞
卦辞:訟。有孚、窒(ふさ)がれて惕(おそ)る。中すれば吉、終れば凶。大人を見るに利ろし。大川を渉るに利ろしからず。
読み:信じる理由はありますが、ふさがれて不安が生じています。途中で止め、正しい人に見てもらうなら吉。最後まで争い抜くのは凶です。
象伝
象伝:天と水と違行す、訟。君子以て事を作すに始めを謀る。
読み:天は上へ、水は下へ向かいます。君子はこの象を見て、物事の始めに約束、役割、境目をよく定めます。
読卦の要点
卦の働き
訟は、言い分がある時ほど危うい卦です。正しさを示すために始めたことが、勝ち負けへの執着に変わることがあります。読卦では、何を守るべきか、どこで止めるべきか、誰に裁きを預けるべきかを見ます。
上下の八卦
下卦は坎、上卦は乾です。内には水の険、外には天の強さがあります。内の不安と外の強硬さがぶつかり、訟になります。
物語図
小さな言葉から始まり、退く、旧徳に寄る、正命へ戻る、公正に扱う、帯を奪われる段階へ進みます。得たように見える名誉も、長くは保てません。
この物語図が合う理由
訟の物語図は、対立が深まるほど戻りにくくなることを見せます。勝つ場面よりも、止める場面、戻る場面、公正を求める場面が重要です。
六爻
爻は下から上へ読みます。変爻がある読卦では、その本文を本卦の中で読み、必要に応じて之卦との関係を見ます。
爻辞:事を永くせず。小しく言あり。終に吉。
読み:対立を長引かせません。小さな言葉はあっても、早く収めれば終わりは吉です。
爻辞:訟に克たず。帰りて逋る。その邑人三百戸、眚なし。
読み:争いに勝てないと見て退きます。身近な人まで巻きこまない退避は、過ちを避けます。
爻辞:旧徳を食む。貞しけれども厲し、終に吉。或いは王事に従い、成すことなし。
読み:古くからの徳や実績に身を置きます。危うさはあっても、功を求めなければ終わりは吉です。
爻辞:訟に克たず。復りて命に即き、渝えて安貞すれば吉。
読み:争いを押し切れないと知り、正しい命へ戻ります。心を改めて安んじ、正しさを守れば吉です。
爻辞:訟、元吉。
読み:公正で中正な位置です。ここでは訴えが正しく扱われ、最もよい形で収まります。
爻辞:或いはこれに鞶帯を錫う。終朝に三たびこれを褫う。
読み:争いで授けられた帯(鞶帯)も、朝のうちに三度奪われます。勝ち取った飾りは長く保てません。