基礎
陰と陽
陰陽は、易経の基本の文法です。陽は連続した爻、陰は中央に切れ目のある爻として現れます。どちらがよい悪いではなく、その時にどちらのはたらきが合っているかを見ます。
要点
易経で陰陽が意味するもの
陰陽は、変化を読むための二つの補い合うはたらきです。陽は実爻として現れ、力、明るさ、押し出す動き、始める力を示します。陰は中央が切れた爻として現れ、受けとめること、包むこと、形にすること、待つ力を示します。どちらが良い悪いではなく、その時に合っているかを見ます。
道と易経
道は、ものごとが通り、起こり、戻っていく道筋を考える言葉です。易経も、固定した答えより、状況がどのように成熟し、反転し、移っていくかを見ます。
易経は一つの思想だけに閉じません。ただ、道の言葉は、卦を「当たり外れ」ではなく、時機と形の変化として読む助けになります。
陰陽は善悪ではない
よく働く陰
聴く、待つ、包む、受ける、養う、守る、形が整う余地を作る。
偏った陰
停滞、逃避、黙るべきでない沈黙、待つことが先延ばしに変わった状態。
よく働く陽
明らかにする、決める、進む、表に出す、始める、必要な力を差し出す。
偏った陽
圧力、押しすぎ、支配、時機を欠いた力、土台を越えて先走る動き。
易経は、陽だから強くて正しい、陰だから弱い、という読み方をしません。いまの場に合う力かどうかを見ます。
陰陽は爻として現れる
陽爻
切れ目のない爻です。能動性、固さ、表現、勢い、始める力を示します。
陰爻
中央に切れ目のある爻です。受容、開き、譲ること、包むこと、形にする力を示します。
一爻から八卦へ
三つの爻が集まると八卦になります。陰陽の配り方だけで、天、地、水、火、山、雷などの像が現れます。
二つの八卦から六爻卦へ
上下二つの八卦で一つの卦になります。それはラベルではなく、力どうしの関係として読めます。
四つの爻値:6、7、8、9
6 · 老陰
変わる陰爻です。受ける力が極まり、陽へ向かい始めます。
7 · 少陽
安定した陽爻です。力は動いていますが、まだ反転しません。
8 · 少陰
安定した陰爻です。受ける力は保たれ、まだ反転しません。
9 · 老陽
変わる陽爻です。押し出す力が極まり、陰へ向かい始めます。
老と少という言葉は、力が満ちれば反転に向かう、という易経の見方を示します。
陰陽から八卦、六十四卦、変化へ
- 爻。読卦は、陰爻と陽爻から始まります。
- 八卦。三つの爻で一つの八卦になります。
- 六爻卦。上下二つの八卦が本卦を作ります。
- 変爻。老陰と老陽が、すでに動き出している場所を示します。
- 之卦。変爻が移ると、変化の向きとして第二の卦が現れます。
読卦で陰陽をどう使うか
- 全体の偏りを見る。能動性が強い卦か、受けとめる力が強い卦かを見ます。
- 下卦と上卦を読む。内側と外側の力がどう関わるかを比べます。
- 変爻を見る。どの位置で陰が陽へ、陽が陰へ移ろうとしているかを確認します。
- いま何が合うかを尋ねる。動けばよいとは限らず、待てばよいとも限りません。
- 一つの応答にする。読卦は、ふるまいが少し変わる時に役立ちます。
五行は補助として使う
木、火、土、金、水という五行を見かけることもあります。五行は固定した素材というより、めぐるはたらきとして読むと扱いやすくなります。
ただし、このサイトでは補助に留めます。まずは卦そのものを、爻、八卦、変爻、之卦として読むことが中心です。
誤解しやすい点
- 陰を悪く、陽を良いものとして扱う。
- 均衡とは、どんな場でも陰陽が半分ずつあることだと思う。
- 之卦を確定した未来として扱う。
- 道の言葉を広げすぎて、実際の卦の構造を見失う。
- 爻と八卦を読まずに、五行だけへ飛ぶ。
読み返すための問い
能動の力はどこにあるか
外へ出ようとしているもの、明らかになろうとしているもの、始める必要があるものは何ですか。
受ける力はどこにあるか
聴く、待つ、守る、抱える、ゆっくり形にする必要があるものは何ですか。
何が反転しつつあるか
どの爻や態度が極まり、反対の力へ移ろうとしていますか。
いま何が合うか
実際の動きに沿うなら、何が少し可能になりますか。
よくある確認
易経で陰陽は何を意味しますか。
陰陽は、変化を読むための二つの補い合うはたらきです。陽は実爻として能動、明るさ、押し出す力を示し、陰は切れた爻として受容、包む力、形にする力を示します。
陰は悪く、陽は良いものですか。
いいえ。どちらも時機と場により、よく働くことも偏ることもあります。易経は順位ではなく、合う力と過不足を見ます。
陰陽と変爻はどう関係しますか。
変爻は陰が陽へ、または陽が陰へ移る場所です。6 は老陰で陽へ、9 は老陽で陰へ変わります。
道の考えを知らないと読めませんか。
知らなくても読めます。まずは爻、八卦、変爻、之卦という構造を押さえれば、読卦は始められます。